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身内の介護 ~恐怖の前頭葉型認知症~

前頭葉型認知症
うちの両親、特に母親は60代後半から徐々に認知症の症状が進んでいたのですが、一緒に暮らしていて困るのが「昼夜逆転行動」というもの。
時間の観念が無くなって昼間はテレビを見ながら昼寝、夕方起きてきて食事を摂るとまたテレビを見ながらうたた寝の生活。
家族はそれぞれ片付けしたりお風呂に入ったりして夜中にはベッドに入るのですが、寝入りばなにいきなり人の部屋に怒鳴り込んできたりしました。
「あんた!私のサンダルどこに隠した!!」と、ものすごい剣幕で。
「ああ、底が剥がれてパカパカになってたから捨てた」、なんて言おうものなら大変な騒ぎになります。
「まだ何ともないものを勝手に捨てやがって!」と悪口雑言が延々と続くんですよね。
仕事で疲れて、翌朝も早いから眠りたいのに毎晩のようにこれが繰り返されるからたまったもんじゃありません。
とにかく自分のものが無くなったりすると、まず家族を疑い必ず真夜中に騒ぎ出すんですから。
1時間でも2時間でも喚き散らして隣近所にも聞こえるし、何よりこちらが眠れなくて辛いのです。
正常な判断ができなくなっているのと、相手が家族という甘えから言いたい放題の悪態をつきます。
いくら頭の病気だからと、わかっていても毎晩これが続くと耐えがたいものがあります。
母の認知症が前頭葉型なのかピック症なのか、詳しい検査はしたことはありませんでしたが、これだけ怒りの感情をむき出しにして食って掛かってくるというのは、少なからず前頭葉の細胞が破壊されていたのではないかと思います。
施設に入居して毎晩こんなに騒がれると職員やほかの入居者に迷惑が掛かるので、医者に眠剤や精神安定剤を処方してもらうことになるのですが、自宅で一緒に暮らしていると病院に連れて行くのも一苦労。
本人は至って正常だと思い込んでいるので、病院なんかに行くわけもないし、自分自身が臭いとか体が痒いという認識が無いので1ヶ月近く風呂にも入らないし下着も取り替えない。
これじゃあ、外出なんてとても無理ですよね。
うちの場合は、たまに自分からお風呂に入ってくれるときを見計らって真っ黒に汚れた下着類を洗濯機に放り込み、新しい下着を用意しておいたのですが、今度は古い下着を探して大騒ぎになりました。
(ちなみに洗濯機の水は真っ黒で、数回洗わないと、まともに着られないほど汚れきっているので、大概は捨ててしまうことになったのですが・・・)
前頭葉の細胞が壊れると感情を抑えられなくなり、感情的に相手を攻撃することと不潔行動が目立つようになります。
もうこうなると、家族も世話をするのがしんどくなってお手上げ状態です。
こんな母親だったのですが病院に入院した時や、後々施設に入れた途端、借りてきた猫のようにおとなしくなりました。
看護婦さんやお医者さん、ヘルパーの人にまで気を遣って、しおらしく振舞っていたのだから驚きです。
と言うことは前頭葉が破壊されていたわけでもなく、多少は人間らしい感情が残っていたのかもしれません。
前頭葉が完全にいかれてしまうと、だれかれ構わず攻撃的になるので、母親の場合はまた違ったタイプの認知症だった可能性が高いですね。
身内同士だとあれだけ暴言を吐いて暴れていたのが嘘のように施設では大人しいおばあちゃんになっていったので、家での様子をヘルパーさんに伝えるとみな、びっくり。
「あのおとなしい◯◯子さん(母)が、そんな口をきくなんて考えられない」、とよく言われました。
それでも何か気に食わないことがあると、家族だけを攻撃(口撃)することに変わりはないので、前頭葉が破損していても残った正常な脳組織で、懸命に「他人に気を遣う」機能が残されていたのでしょうか。
こんなことを考えると、認知症を患った家族を他人に預けることが必ずしも悪いことだとは思えないんですよね。
いや、むしろ本人の情緒が安定して家族も自分の生活を取り戻せるのだから却って施設などに預けて世話をしてもらう方が、心身共に落ち着いて生活できるのかもしれません。
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