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身内の介護⑥ ~無認可老人ホームに両親を預けた失敗談~

無認可老人ホームとに預けた失敗
実はうちの両親も最初は、とある「無認可の老人ホーム」に入居させていた時期がありました。
父より早く老人病院に入院していた母ですが、やはり月々の入院費その他もろもろの費用がかさんで、長期入院は難しくなってきました。
できれば二人とも、利用料金を抑えられる特養に入れればよかったのですが、当時は要介護1や2では、入居資格がありませんでした。
他にもいろいろと施設をあたってみたものの、どうしても料金的に折り合いがつかず、焦っていました。
1件1件電話をかけて施設の詳細を聞いていたのでは時間ばかりが過ぎるので、老人ホーム紹介サイトに資料一括請求をして決めたのが、この無認可の施設です。
無認可なので、有料の介護サービスというものもなく、二人合わせて月15万円で預かってくれるというのです。
民家を改装したその施設で、両親は10畳ほどの和室に同居できることになりました。
ベッドもこたつも備え付けで、どこか旅館にでも泊まっている雰囲気がありました。
無認可と言えども、一応、介護資格を持った職員が在住しており、食事や入浴の介助を行ってくれていたので、生活面での心配はさほどありませんでした。
(入居者の中にはストーマ『人工膀胱』を付けた方もいて、職員はその介助もやっていました)。
両親の場合、重篤な病気でもないし、介護は必要なものの治療が必要な怪我をしているわけでもなかったので、何の心配もないと思っていました。
ところが、心臓に持病を持っていた父が入居3ヶ月後に倒れて救急搬送され、そのまま病院で亡くなってしまいました…
その日の明け方、バタっという音を聞いた気がして目が覚めました。
別に人や物が落ちた気配はなかったのですが、それからほどなくして施設から連絡がありました。
「お父様がベッドから落ちて、呼吸していないので心臓マッサージをして救急車を呼んだところです」
母と同室で寝ていた父が、寝返りを打って落ちたのか、あるいは心臓が苦しくなってもがいているうちにベッドから落ちたのかは定かではありません。
緊急搬送された病院の医師によると、「ベッドから落ちてお尻を打った衝撃で、心臓が止まった可能性がある」とのことでした。
父は入院する前から徐々に痩せてきていて、確かにお尻の肉も落ちていたので尻餅をついた時の衝撃が予想外に強かったのかもしれません。
施設の部屋は和室で畳の上にベッドを置いていましたが、ベッドから落ちた父は畳に尻餅をついた格好になりますね。
父の場合、食事で塩分を控える以外、家でも病院でも専門の治療を受けていたわけでもなかったので、私もその辺はあまり深く考えずにこちらの施設にお世話になることにしたのです。
入居前に精密検査でも受けていれば、心臓の状態も詳しくわかったのかもしれませんが、当面そういう検査が必要ということは入院していた病院でも言われませんでした。
食事の塩分量を気を付けるくらいで、特に心配はない、自宅でも生活できる、と言われていたのです。
確かに病院の療法食とは違って、栄養士さんが作った献立でもなく、職員が交代で作る食事だったので心臓疾患のある父の食事は完璧なものではなかったのかもしれません。
そういったことも今になれば、いろいろと考えられたのでしょうが当時、私は自分の仕事と生活を守るために、両親を預かってくれる施設を見つけるのに精いっぱいでした。
何といっても、入院先の病院から呼び出しの電話は掛かってこない、認知症の高齢者の介護に慣れた職員がいる、月々の利用料金も安いなど、私にとってメリットしかありませんでした。
この施設に入居させていなければ、まだ介護施設選びが続いて私は落ち着いて生活できなかっただろうと思います。
仕事も辞めなければならなかったかもしれません。
その時には、この選択肢が最適と思われました。
入居後、何度か両親に面会に行ったときも両親は病院に入院しているより穏やかな顔をして落ち着いていました。
入居前、母には「父の療養のために数日泊まるけれど、施設は人手不足だから、食事の支度なんかの家事を頼まれるかもしれない」とか「父の介護も手伝ってもらうことになるかもしれない」と言ってありました。
認知機能を衰えさせないようにと思う私の要望でもあったので、実際に施設では母に食事の支度を手伝わせたり、洗濯ものを畳んだりさせるなどをさせてもらっていました。
そうすることで母は自分の存在価値を認識したようでした。
誰かのために何かをする、この意識って認知症を遅らせるために必要なものだと思います。
こうして母は、入院中の医療事故(?)で左腕が利かなくなって自由に歩くこともままならなくなった父の車いすを押して介助するなど、嬉々として働いていました。
無認可と言えども、責任者の介護職員は本当に認知症患者の扱いに慣れた人で、私も他の入居者のご家族も信頼を寄せていました。
そんな施設でしたが、父が他界して数ヶ月後 急きょ閉鎖されることになってしまったのです。
たまゆらの火事」を覚えていらっしゃいますか?
無認可老人ホームで、施設を建て増し、建て増しで部屋数を増やし、ある日、タバコの不始末から家事を出して入居者が数名(10名以上?)、亡くなった事件です。
両親を預けていたのはこの「たまゆら」の経営者が持っていた施設の一つです。
(実際に火事になった施設とは別の施設です)
全国ネットで報道されたこの事件で、彼が経営する施設は全て閉鎖されました。
無認可で、建築基準法も遵守しておらず、集団生活する設備ではないのに高齢者を預かって家事まで出したのですから、もうこれは犯罪といってもいいくらいの事件です。
不幸中の幸いで、実際に火事にあったわけではありませんが、介護に対する知識が無かったことが、間違った施設を選んだ原因だと思います。
間違った施設と書きましたが、この施設の介護自体に大きな間違いがあったとは思いません。
うちと同じように介護施設を探してやっとたどり着いた場所で介護してもらっていたので、亡くなったご遺族以外に、この経営者を頭ごなしに非難する人は少なかったと思います。
ただ、やはり人の命を預かる仕事ですから最低限、きちんと許可を得た建物、必要な介護職員数、介護設備が整っていないといけないのです。
そういった設備や人材が揃っていることを前提に、介護サービスや料金について考えるべきなのです。
私が希望していたのは、認知症が徐々に進むのは仕方ないとしても、両親が穏やかで落ち着いた生活ができて、そこで自然に寿命を終えることができる施設です。
この施設のように問題を起こしていきなり閉鎖されることのない「終の棲家(ついのすみか)」です。
こんなことがあって私はそこでまた、母の入居先を探さなければならなくなりました。
今度はできるだけ間違いの無いように、母のケアマネージャーを通じて、許認可の施設を数ヵ所、見学に行くことになります。
ケアマネージャーさんがいて、施設を紹介してくれるなら一緒に見学に行くのもよし、あるいはネットで自分の希望する条件を選定して検索する方法もあります。
いいな、と思う施設があったら2~3回は見学に行くことをおススメします。
施設に入った時の雰囲気、職員の明るさ、きちんと挨拶をしてくれるか、居室は臭っていないか、リビングや廊下は明るいか、居室にカーテンや収納箪笥などはあるかなどをチェックするためです。
口コミやケアマネージャーの言葉だけを鵜呑みにせず、できれば複数で施設を見学して、それぞれが違った観点から気になった点を挙げて検討します。
身内にとってどんなサービスをしてくれるのかとか、お風呂好きな方なら週に何回お風呂に入れてくれるかなど、細かいことも聞いておいた方がいいですね。
身内の介護が難しいと思い始めたらまずは、地域の役所(介護高齢課など)に相談に行き、介護認定してもらいます。
介護認定が下りれば、希望する施設に要介護度を伝えることができます。
介護認定を受けていないと、施設によってはそちらを先にするように勧められることもあります。
早めに準備を始めておけば焦って、問題のある施設選ぶような失敗を避けることができるのです。
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